近年プロスポーツ選手などの治療としても注目を浴びているPRP療法は、患者さん自身の血液を遠心分離してつくられるPRP(多血小板血漿)を用いて行う治療です。
ジンマー バイオメット合同会社は2016年7月に国内初めてとなる臨床使用可能なL-PRP(高白血球多血小板血漿)を調製する血液成分分離キット「GPSIIIシステム」を発売しました。今回GPSIIIシステムをさらに進化させた次世代PRPと位置づけるAPSキットの販売を8月1日より開始し、既に11の医療機関で治療が開始可能な環境となりました。
※「APSキット」は特定保険医療材料ではありません。
※2018年10月5日現在、再生医療等安全性確保法を遵守した医療機関にて使用できます。
APSキットはAPS細胞分離チューブ(GPSIII STDチューブと同じ)で抽出した約6mlのL-PRP(高白血球多血小板血漿)をAPS濃縮チューブに注入し、2分間の遠心分離工程を経て約2.5mlのAPSを抽出します。APSには関節内の炎症バランスを整える抗炎症物質と成長因子が高濃度に含まれています。
APSキットについて
APSキット 左)APS濃縮チューブ 右)APS細胞分離チューブ
<専用遠心分離機(GPSIII・APS共通)>
■製品名(販売名):
<GPSIIIシステム>
・医療機器製造販売承認番号:22700BZX00420000
<APSキット>
・医療機器製造販売承認番号:22900BZX00052000
■PRP(多血小板血漿)とは
PRP(多血小板血漿)とは、自己血を遠心した後の血小板を多く含む血漿層のことです。血小板は止血過程で重要な役割を果たすほか、様々な成長因子を含みます。これらの成長因子の役割により、生体が本来持つとされる自然な治癒反応を促進するといわれています。
■APSキット
次世代PRPという位置づけのAPS(Autologous Protein Solution:自己タンパク質溶液)抽出専用キットです。GPSIII同様、臨床(治療)での使用が認められたクラスIII医療機器・血液成分分離キットです。少量(55ml)の患者末梢血から抗炎症物質と成長因子を濃縮した自己タンパク質溶液(APS:Autologous Protein Solution)を約2.5ml抽出するキットです。APSは抗炎症作用により関節内の炎症物質と抗炎症物質の不均衡を整えます。
抽出したAPSには自己血由来の抗炎症物質と成長因子が濃縮されます。2つの閉鎖性チューブを用いて合計17分間(15分間+2分間)の遠心分離工程で自己血55mlから約2.5mlのAPSを抽出でき、採血当日に使用(治療)が可能です。
【APS精製手順ハイライト】
■GPSIIIシステム
2016年7月より販売の「GPSIIIシステム」で分離されるのは、PRPに加えて白血球も多く含むL-PRP(高白血球多血小板血漿)です。白血球は創傷治癒プロセスに複雑に関与しており、組織の治癒に重要な役割を果たしています。
「GPSIIIシステム」では、利用可能な血小板を多く含むL-PRPが毎回安定・一貫して抽出されます。また、特許出願中の固定型二重ブイ機構が、マニュアル操作を必要としない血小板と白血球の効率的な自動分離を可能にしています。本システムで分離したL-PRPの濃縮率は遠心分離前の全血中濃度に対して、血小板は約6~9倍、白血球は約3~6倍に増加します。
<専用遠心分離機(GPSIII・APS共通)>
<GPSIIIスタンダードチューブ>
<固定型二重ブイ(特許出願中)がL-PRPの効率的な自動分離を可能にしている>
ジンマー バイオメットについて
ジンマー バイオメットは、米国インディアナ州に本社を持つジンマー バイオメット社(Zimmer Biomet Holdings, Inc.)の日本法人であり、筋骨格系ヘルスケアのリーディングカンパニーです。
ジンマー バイオメットは、変形性関節症や骨折をはじめとする整形外科領域の疾患に苦しむ患者さんの生活の質の改善のために、人工関節や骨接合材料などの治療材料のみならず、一人ひとりにカスタマイズされた治療ソリューションや革新的な医療技術の提供に努めています。ジンマー バイオメットのタグラインである「Your progress. Our promise.(TM)」は、高齢化がさらに進む社会の中で、人びとが健康でより良い生活を送ることへの支援を、私たちの使命として約束するという意味が込められているとのことです。