株式会社リゾームのシンクタンク“SCトレンド研究所”は、同社製品の全国商業施設(以下 SC)・ショップ・ブランド出退店データベース「SC GATE」を活用し、2018年7月~9月期を対象にショッピングセンターでの出店と退店を調査しました。
【詳細はコチラ】
https://sc-trend.jp/2018/11/07/quarterly-di-201809/
【リゾームWebサイト】
全国SC・百貨店約4,800施設22万ショップの出退店データベース「SC GATE」調べ
ショッピングセンターでの出店と退店のバランスを示す指標「四半期SC出退店D.I.値」を、2018年7月~9月を対象期間として、業種別、SCタイプ別、SC所在地方別に算出した結果を報告します。
調査結果
◆駅周辺・市街地は小型・中型・大型全ての施設でテナント数が1年以上連続減少
SCタイプ別に見ると、「駅ビル」では時期によりテナント数の増加も減少も見られるが、その周りの「駅周辺・市街地」タイプでは、2017年7月以降、5期連続してテナント数が減少するという結果になりました。
更に詳しい出退店動向のトレンドについては、2017年4月~18年3月末まで集計した「ショッピングセンター出店・退店動向レポート2018」( https://sc-trend.jp/2018/08/28/about_yearly-report-2018/ )で確認できます。
【他トピックス】
◆[業種別]店舗数が増加している3業種はこれだ
◆[SC所在地方別]中国地方以外は全国的に店舗数減少
【SC GATEとは】
全国のSC・百貨店4,800施設、22万ショップ・ブランドの情報や出退店データベースを活用できるWEBサービスです。「さがす」「くらべる」「見極める」が思いのままになります。
リーシング戦略・ショップ出退店戦略の勝率を高めます。
『続く駅周辺・市街地のショッピングセンターでの店舗数減少』
【2018年7月~9月期 四半期SC出退店D.I.】
ショッピングセンターでの出店と退店のバランスを示す指標、四半期SC出退店D.I.値(四半期SC出退店D.I.の説明は本記事後半をご覧ください)を、2018年7月~9月を対象期間として、業種別、SCタイプ別、SC所在地方別に算出した結果を報告します。
◆3つの業種で店舗数の増加が続く(業種別四半期SC出退店D.I.)
ショッピングセンターに出店しているテナントの大業種別に、18年7月~9月期を含め5四半期分の四半期SC出退店D.I.を算出した結果が図表1です。
この四半期では、データを作成している全11業種のうち、D.I.値がプラスとなった業種は、インテリア・寝具・家電(同記事では、大業種名に_大業種を付加せずに記載します)サービス、アミューズメントの3業種で、その他の8業種はマイナスとなりました。
ファッション、ファッション雑貨の両業種は、D.I.値が5四半期連続でマイナスとなり、店舗数の減少が継続しています。一方、この四半期にプラスのD.I.値となったインテリア・寝具・家電、サービス、アミューズメントの3業種は、D.I.値がゼロの四半期はあるものの、マイナスの値となった四半期はありませんでした。
ただ、前四半期の報告でも指摘したとおり、インテリア・寝具・家電はD.I.値が徐々に小さくなっており、増加傾向が弱くなっています。
図表1:大業種別四半期SC出退店DI
◆駅周辺・市街地は規模にかかわらずテナント数の減少が続く(SCタイプ別四半期SC出退店D.I.)
SC GATEが定義しているSCタイプ別に、同期間の四半期SC出退店D.I.を算出した結果は、図表2のようになりました。
図表2:SCタイプ別四半期出退店DI
この四半期では、全体で14のSCタイプのうち、D.I.値がプラスとなったSCタイプは、小型駅ビルと大型駅ビルの2タイプのみとなりました。
5四半期での推移でみると、ショッピングセンターのリニューアルなどによる出店・退店があるため、D.I.値のプラスとマイナスが混在しています。ただ、駅周辺・市街地の施設については、小型・中型・大型のすべての規模について、5四半期連続してマイナスのD.I.値が続いています。
◆中国地方を除く全地方で店舗数が減少(地方別四半期SC出退店D.I.)
ショッピングセンターの所在する地方別に、同期間の四半期SC出退店D.I.を算出した結果は、図表3のようになりました。
この四半期のD.I.値では、中国地方のみがプラスになった以外は、すべての地方でマイナスのD.I.値となりました。中国地方では3四半期連続した店舗数増加となっています。
前四半期の報告で、東北地方はプラスに転じたとしましたが、新規開業ショッピングセンターの影響を除く今回からの対象ショッピングセンター定義を適用すると、5四半期連続してマイナスのD.I.値となりました。
図表3:SC所在地方別四半期出退店DI
※同稿はSC GATEの2018年10月末時点のデータを用いて作成しています
【四半期SC出退店D.I.とは】
四半期SC出退店D.I.は、SCトレンド研究所が考案した、SCにおけるテナントの増減を表す指数です(四半期SC出退店D.I.の定義は※1をご参照ください)。「D.I.」(ディー・アイ)は、Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、景気動向判断指標の一つとして用いられているものです。
四半期SC出退店D.I.がプラスの場合は出店数が退店数よりも多く、マイナスの場合は出店数よりも退店数が多いことを表します。また、値がゼロから離れるほど出店数と退店数のバランスが、どちらか一方に偏っていることになります。
なお、四半期SC出退店D.I.はショッピングセンター(SC)での出退店のみを見ており、多くのショップブランドでは路面店も含めSC以外での出退店があり、出店戦略の変更などに伴う特定のショップブランドの出退店がD.I.値に影響することがあることから、業種別SC出退店D.I.がそのまま業種の勢いなどを表すものではありません。同様に、ショッピングセンターの大規模リニューアルなどに伴う出退店もD.I.値に影響しますので、SCタイプ別、SC所在地方別の場合も、SC出退店D.I.値がそのままその区分の勢いなどを表すものではないことに留意する必要があります。
※1 https://sc-trend.jp/2017/12/20/quarterly-di-201709/
留意事項
※四半期SC出退店D.I.はSC GATEのデータから算出されており、このデータは毎月、新規開業以外のショッピングセンターも含め、新たな施設が追加されていくことから、D.I.値を時系列でみる際には、厳密な連続性はないことに留意する必要があります。
※これまでの報告でD.I.値の算出に用いていた対象ショッピングセンターの定義には、期間中に新規開業したショッピングセンターや営業を終了したショッピングセンターが含まれるため、その影響が強く表れる場合がありました。そこで、この報告から、こうしたショッピングセンターの影響を受けないようにするため、「対象四半期の期初までにSC GATEに登録され、かつ、対象四半期の期末に営業しているショッピングセンター」を対象とするように、対象ショッピングセンター定義を変更しています。なお、過去4四半期についても対象ショッピングセンター定義を変更した指標を、各表に参考値として記載しています。
集計対象SC
◇対象四半期の期初までにSC GATEに登録されている
◇対象四半期の期末時点で営業している
◇SC面積が1,500m2以上である
◇2016年9月~2018年9月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
◇SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている
※「SC GATE」は、約4,800商業施設における出退店情報を搭載している業界最大級のデータベースです。搭載されているショップ数は約22万件にのぼり、ファッション・サービス・飲食などをはじめとした大業種は12業種、小業種は325業種に分類。商業施設は施設タイプ、開業年度、商圏人口、駐車場台数などで検索可能となっており、SCやショップブランドを探すことや比べることのできる業界唯一のデータベースです。